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2015年05月29日

【うわさの介護】おむつゼロとは「介護力向上講習会」の目標のスローガンだった!?【後編】

具体的にはどのようにおむつゼロを目指すのですか?

大きな軸として4つの基本ケアがあるそうです。
(1)水分
1日1.5リットル(またはそれ以上)を飲む。水が細胞を活性化させ、身体と意識の両面を活性化させていく効果があるそうです。

(2)食事
1日1,500kcl以上の食事を「常食」で食べる。常食とは「通常の食事」という意味でミキサー食とかペースト食ではないことです。常食は食物せんいが多く、もし常食で不足している場合はファイバードリンクや寒天ゼリーなどで補てんするそうです。

(3)排便
毎日~2,3日に1回、自然排便。下剤を使わずに自然排便(生理的排便)というのがポイントですね。トイレという環境を脳が認知して「排泄指令」を出すメカニズムを活用し、
毎日同じ時間にトイレに行く、座って排便するのが重要とのことです。

(4)運動
歩行が主。歩行により全身の筋肉が動き、覚醒中枢(覚醒とは、はっきり目覚めていて意識がある状態)が刺激され、結果的に覚醒レベルが向上するそうです。ADL(日常生活動作)があがれば、意識レベルがあがり、結果的に本人の活動意欲も向上するそうです。そのため、講習会では生理学なども学ぶそうです。

おむつゼロはあくまでスローガン、ゼロにならないと成果がないという意味ではない。

「おむつゼロが最終目的」ではないと言うものの、インパクトあるスローガンのためやっぱり気になってしまうその効果。70箇所を超える老人ホーム(特別養護老人ホーム)が日中おむつゼロを達成したそうです。でも実はその前に「オムツアンダー30」という目標があり、これは「オムツを使わずに排泄できる人の割合を施設全体の70パーセントにしようというのが目標だった」そうです。現在では、「介護力向上講習会」を受講した施設のほとんどが「オムツアンダー30」を達成しているそうです。そして、実はこの講習のもう一つの目的が・・・それが「問題提起」とのことです。やはり自ら強くおむつを望んでいる方はおらず、「仕方なく」「我慢して」が本音ではないかと思います。実際に尊厳ある暮らしをしていくうえで、おむつは大きなハードルとなります。そして、私が見せていただいた講習会のテキストにはこう書いてありました。

― おむつ = 便利で手軽な排泄処理手段?誰にとって? ―

介護職にとっておむつ交換は、「介護職の向上への意識を奪う」とも書いてあります。まさに、この講習会を通じての「問題提起」そのものズバリだと思いました。だから、言葉ひとつひとつが直球で“ぐっさ”と突き刺ささり、これまでの自分(介護職)を否定されているような思いにもなるかと思います。ただ、これが意識を根本的に変えるこの講習会の狙いと、参加施設が目標を達成させることのできる原動力になっているのではないかと思いました。そして、おむつゼロはあくまでも入口(きっかけ)であって、目指すべき姿は「本人の意思で動ける生活を取り戻す」とのことです。

おむつゼロはあくまでスローガン、ゼロにならないと成果がないという意味ではない。

「介護力向上講習会」を受講するにはどうしたらいいのですか?

受講施設は特別養護老人ホームが対象で、また受講生は特養の職員であることが前提です。これは、講習会開始から終わりまで入所者全員のデータを収集(例えば、水分摂取量が受講月からどのように変化していくなど)し、分析を行っているため現時点では特養に限っているそうです。また参加するには施設内に「介護力向上委員会」を設置し施設全体で取り組みを実施することや2年間で合計24日間の講習に参加するなどけっこう大がかりなものとなるかと思います。せっかく良い取り組みですので、是非有料老人ホームなどにも広げていきたいですね。勉強したい方は自立支援介護の理論を記した竹内先生の著書を参考にしてみてください。ちなみに今更ですが「介護力向上講習会」を主催している全国老人福祉施設協議会は全国の7割の特別養護老人ホームが会員になっている協議会です。ちなみに、「おむつゼロ」なったことによる副産物は、、、何と入院する方が減って、、さらに施設運営においても大きな稼働率が上がり退職率が下がったというお話も。

結論、「おむつゼロ」とは「介護力向上講習会」のスローガンであり、「介護力向上講習会」は、自立支援介護を実践するためのまさに職員の介護力を向上させるための講習会でした。いやー、いいこと勉強したなー。まだまだ知らないことがたくさんだ。でも、、、実際の現場も見たくなってきた・・・・。興味がある方は調べてみてください。

■取材協力
全国老人福祉施設協議会 http://www.roushikyo.or.jp/contents/

「介護力向上講習会」を受講するにはどうしたらいいのですか?

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